【ヨーロッパ女一人旅】vol.10 オーストリア・ウィーン|レオポルド美術館美術館でエゴンシーレの作品に触れる

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長年憧れていたヨーロッパ旅行。仕事を辞め、ずっとやりたかったとをやる時間充電期間中、一ヶ月間ヨーロッパ一人旅に挑戦。ハンガリーブダペストからスタートしオーストリアウィーンへ。

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オーストリアウィーンを訪れた旅の中でも特に印象に残ったのが、レオポルド美術館で見たエゴン・シーレの展示でした。真っ白な空間に、シーレ特有のねじれた線や鋭い視線を持つ作品が並び、歩いているだけで緊張感が漂います。けれども同時に、その強烈な存在感に引き込まれ、目を離すことができませんでした。作品の一部と見どころをご紹介します。

レオポルド美術館
住所:MuseumsQuartier Wien, Museumsplatz 1, 1070 Wien, Austria
HP:https://www.leopoldmuseum.org/en

女性像の変化 ― 線から立体へ

展示でまず目に入ったのは「The Female Figure」という解説パネル。


1917年以降、シーレの女性像は以前の尖った線描から、より有機的で落ち着いた表現に変わったといいます。実際に並んでいる作品を見ると、初期のアンバランスな身体の強調から、後期の丸みや肉体感へと確かに変化していました。
一方で解説には「晩年の裸婦は個性を失い、観察者の視線に応えるための類型的な存在へと変わった」と批判的な言葉も添えられていました。シーレが追い続けた“女性像”が、芸術としての探求か、それとも覗き込む視線に応じたものなのか――見る者を考えさせる瞬間でした。

肖像画に宿るリアリズム

「Portraits」のセクションでは、シーレの肖像画の変遷が紹介されていました。
1911年から16年にかけては依頼が少なく、芸術家として苦しい時期だったそうです。しかし兵士や家族を描いた1915年以降の作品では、対象を冷徹に観察しながらも確かなリアリズムが表れていました。


特に兵士の肖像には、戦争の影が差す時代の空気が宿っており、ただの個人像を超えた普遍性を感じました。晩年に文化人たちからも依頼を受けるようになったのは、この「人間の内面を捉える力」が評価されたからなのだと思います。

女性性の投影とシーレの人生

「Projections of Femininity」では、シーレが描いた女性像の多様さが語られていました。
モデル兼恋人だったワリー・ヌイジル、のちに妻となるエディット、そして母や姉妹――シーレにとって身近な女性たちが作品に色濃く反映されています。


解説は、彼のテーマである「性と死」が母性像と絡み合って表現されていると指摘していました。確かに、母性的でありながら官能的、そしてどこか不安を呼び起こす女性像を前にすると、シーレの個人的な体験と芸術の境界がにじみ合っていることを感じます。


芸術家としての自覚

「The Artist as a Medium」では、シーレが自らを「媒介者」として位置づけていたことが紹介されていました。
彼にとって芸術は単なる表現ではなく、世界と自分自身を理解するための手段であり、時には宗教的・神秘主義的な色彩を帯びていました。
実際に「啓示」「苦悩」といった題をつけた作品からは、彼が自分をキリスト的な存在に重ね合わせようとした意識を感じます。単に「見る人」ではなく「真実を見抜く者」としての自意識が、作品の強烈さにつながっているのでしょう。


都市景観 ― 生きる街を描く

最後に印象的だったのは「Animated Cityscapes」のコーナー。
シーレは自然を写実的に描くことにはあまり興味がなく、街そのものを「生きている存在」として描いていました。特に母の故郷チェスキー・クルムロフの街並みは、彼にとって重要なインスピレーション源だったそうです。
実際に展示されていた街並みのスケッチは、ただの風景画というよりも、人間のように息づき、時に不気味で、時に魅惑的。建物が「都市の肉体」として描かれているように見えました。

ここから、チェコへ行ったらチェスキー・クロムロフへ行きたいと思い、行くことに。

同時代に活躍した、名建築家の作品も

展覧会の中には、シーレの作品だけではなく、同じ時代に活躍した建築家やデザイナーの紹介もありました。特に印象的だったのが オットー・ワーグナーヨーゼフ・ホフマン です。

オットー・ワーグナーはウィーンの街を今の姿に近づけた建築家。地下鉄の駅や郵便貯金局などをデザインした人で、「機能的でありながら美しい」建物をつくるのが得意でした。展示されていた家具もシンプルなのに存在感があり、シーレの荒々しい絵と同じくらい「時代の空気」を感じさせます。

ウィーンにある駅でオットー・ワーグナー設計。こちらも実際に訪れました。

ヨーゼフ・ホフマンは、生活の中のデザインを大事にした人。家具や食器など、直線的でモダンなデザインが特徴です。彼の椅子やテーブルを見ていると、100年以上前のものなのに「いまの北欧デザインに通じる」と思えるくらい新鮮でした。

ウィーン分離派の面白さ

シーレが絵で挑戦したこと、ワーグナーが建築で挑戦したこと、ホフマンが生活用品で挑戦したこと。分野は違っても「古い美意識に縛られないで、新しい表現を探す」という点では同じだったのです。

この展示を見ていると、シーレの絵を単独で楽しむだけではなく、当時のウィーンがどれほど「芸術全体で新しい時代を作ろうとしていたか」が伝わってきました。

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