長年憧れていたヨーロッパ旅行。仕事を辞め、ずっとやりたかったとをやる時間充電期間中、一ヶ月間ヨーロッパ一人旅に挑戦。ハンガリーブダペストからスタートし三カ国目のチェコ、プラはへ。
過去記事はこちら👇
今回は、チェコ特有の芸術運動「キュビズム」をテーマに、美術館めぐりと街歩きを楽しんだ体験をまとめてみます。
プラハに来たら絶対に訪れたいと思っていたのが、チェコ・キュビズムの美術館。
美術館で触れる「チェコ・キュビズム」の世界
入口をくぐると、まず目に飛び込んできたのは、幾何学的で鋭角的な形が目立つ家具や装飾品。展示解説を読み進めるうちに、キュビズムが単に絵画運動としてだけでなく、建築やインテリア、日用品にまで広がったという事実に驚かされました。


キュビズムミュージアムが入っているのは、「黒い聖母の家(Dům U Černé Matky Boží)」。ヨゼフ・ゴチャールの設計による代表的なキュビズム建築。外観は鋭い角度を持つ窓や幾何学模様に彩られています。カフェが入っており、インテリアもキュビズム建築。建築全体がアート作品。キュビズムデザイン雑貨が手に入るお土産屋さんも一階に入ってます。


展示室では「The Oblique Plane and the Crystal(斜めの平面と結晶)」というテーマが掲げられ、パヴェル・ヤナークら建築家の理論と実作が紹介されていました。絵画での断片化や多視点の表現が、そのまま家具や建築に応用され、結晶体のようなフォルムとして立ち上がっているのです。椅子やキャビネットといった日用品でさえ、まるで彫刻作品のような存在感を放ち、芸術と生活の境界が消えていく感覚に心を奪われました。


「The Cubist Interior and Furniture Design(キュビズムのインテリアと家具デザイン)」のコーナーでは、鋭角的な形を持つ家具や、シンプルながらも力強い装飾が並び、当時の人々の生活空間を想像させます。中でも印象的だったのは、鮮やかな布地で装飾された椅子や、幾何学模様が壁紙や装丁と調和するようにデザインされたインテリア。キュビズムがどれほど徹底して「生活を芸術化」しようとしたかを肌で感じる瞬間でした。
さらに「Czech Cubism」の展示では、この運動が第一次世界大戦前後の短い時期に集中的に開花し、ヨーロッパの前衛芸術の中でもユニークな役割を果たしたことが紹介されていました。理論と実作が渾然一体となったそのエネルギーは、100年以上経った今でも新鮮に伝わってきます。
館内は重厚なシャンデリアや天井画もあり、歴史ある空間そのものが芸術作品のようでした。煌びやかな装飾の中に前衛的なキュビズムの展示が並ぶ対比は、まさにプラハならではの魅力といえるでしょう。







TIPS: この美術館内には、プラハで見られるキュビズム建築の街歩き地図が無料でもらえます!
街で出会う「キュビズム建築」
美術館での学びを胸に、プラハの街を歩いて実際の建築を探してみました。

美術館から少し足を伸ばすと、近代建築のアイコンとして知られるダンシング・ハウスに出会えます。くねくねと揺れるようなガラスの塔と、隣の石造の建物が寄り添うように建つ姿は、見る角度によってまるでダンスをしているかのよう。古典的な街並みの中で異彩を放ちつつも、不思議とプラハの風景に溶け込んでいました。
しかし、キュビズム建築の魅力はこれだけではありません。更に足を伸ばし住宅街を歩いていくと、観光地の喧騒から離れた場所に、ひっそりと佇むキュビズム建築群が顔を覗かせます。

坂道に沿って建つ白い集合住宅は、壁面が幾何学模様で刻まれていて、まるで巨大なクリスタルのよう。窓枠やバルコニーまで鋭い角度がつけられ、日差しの当たり方によって影が美しい模様を描きます。


古びた街並みの中で突然現れるこの建物は、まるで時代を超えてきた未来人のよう。普通のアパートメントなのに、そこに住む人たちは「芸術の中で暮らしている」のだと思うと、羨ましさすら覚えました。


キュビズムが教えてくれること
今回の美術館と街歩きを通して強く感じたのは、チェコ・キュビズムが「芸術を生活の隅々にまで浸透させようとした運動」だったということです。絵画や彫刻だけでなく、家具や建築、日用品に至るまでデザインを通じて世界の見方を変えようとした彼らの挑戦。その大胆さと情熱は、100年後の私たちにとっても大きな刺激になります。
展示室で見た家具や装飾品、そして街中で出会った建築の数々。そのどれもが「日常の中に潜む芸術性」を問いかけてくるようでした。
まとめ
プラハは、中世の街並みやゴシック様式、バロック様式などの多様な建築が残る、まさに建築の街なのです。そして、中世の古い街並みと前衛的な芸術までもが同居する稀有な都市です。歩くキュビズム美術館で理念に触れ、さらに街歩きで住宅街に隠れた建築を探しながら、ただの観光を超えて「芸術を生きる人々の息遣い」に触れる旅となりました。
ウィーンの絢爛豪華な美術館とは対照的に、プラハでは芸術がもっと生活の中に溶け込み、息をしているように感じます。建物に刻まれた角度や影に見とれていると、思わず時間を忘れてしまうほど。
芸術運動の一時代を超えて、今も私たちの目と心を刺激し続けるチェコ・キュビズム。プラハを歩くことで、それが決して過去の遺産ではなく、現在進行形で息づく「生きた芸術」であることを確かめることができました。
もしプラハを訪れるなら、ぜひ「キュビズムの旅」をテーマに歩いてみてください。きっと、ただ観光する以上の発見と感動が待っているはずです。




コメント