私は自分のことを、厳格なミニマリストではなく「ゆるミニマリスト」だと思っています。
持ち物の数を決めているわけでもないし、好きな雑貨や旅先で見つけたものは買います。「一つ買ったら一つ捨てる」といったルールも特にありません。
ただ、必要以上に物を増やしたくはないし、気に入ったものを長く使いたい。できれば「なんとなく買う」は減らしたい。
そんな、ゆるいミニマリストです。
最近ふと気になったのが、「海外のミニマリスト界隈って、2026年の今どうなっているんだろう?」ということ。
一時期の海外ミニマリズムというと、真っ白な部屋、ほとんど何も置かれていない棚、少数精鋭のワードローブ……といった、かなりストイックなイメージがありました。
ところが2026年の海外の記事やトレンドを調べてみると、どうも少し様子が違います。
「どこまで減らせるか」ではなく、
「そもそも、そんなに買わなくていいのでは?」
という方向へ。
そして調べれば調べるほど、「これ、日本でいう“ゆるミニマリスト”と結構似ているのでは?」と思うようになりました。
今回は、2026年の海外ミニマリスト周辺で気になったトレンドをまとめてみます。
まず初めに、海外のミニマリズムの流れを振り返る
現在のトレンドを見る前に、海外のミニマリズムの流れをほんの少しだけ振り返ってみます。
そもそも「Minimalism」は、暮らしを表すために生まれた言葉ではありません。
1960年代ごろのアメリカでは、美術やデザインの世界でMinimalismが大きな潮流になりました。装飾や作家の感情表現を削ぎ落とし、形や素材そのものを見せようとする考え方です。
それが現在のような「少ないもので暮らす」というライフスタイルとして広く発信されるようになったのは、ずっと後のこと。
2000年代後半から2010年代にかけて、ブログや書籍、SNSなどを通して「Living with less(より少ないもので暮らす)」という考え方が広がっていきます。
たとえばJoshua Beckerが家族でミニマリストになる過程を綴る「Becoming Minimalist」を始めたのは2008年。Joshua Fields MillburnとRyan Nicodemusによる「The Minimalists」は2010年にウェブサイトをスタートしています。
2010年代には、Decluttering(片づけ・手放すこと)、Capsule Wardrobe、Tiny Houseなどとも結びつき、
「持ち物を減らす=ミニマリスト」
というイメージがかなり定着しました。
InstagramやPinterestでよく見かけた、白い壁に必要最低限の家具だけが置かれた部屋も、この頃の「ミニマリストらしさ」を象徴するものだったように思います。
ところが2020年代に入り、その方向が少しずつ変わってきます。
海外の2026年ミニマリストトレンド
Underconsumption Core|「買わないこと」を見せる

まず気になったのが、Underconsumption Core(アンダーコンサンプション・コア)という言葉。
2024年ごろからTikTokを中心に注目されたトレンドで、直訳すれば「過少消費」。
といっても、極端な節約生活をするという意味ではありません。
たとえば、
- 何年も使っているバッグをそのまま使う
- 化粧品を最後まで使い切る
- 壊れたものを修理する
- 新品ではなく中古を選ぶ
- 同じ服を何度も着る
- まだ使えるものは買い替えない
といった、ごく普通の暮らしをあえてSNSで見せます。
これまでSNSでは「新しく買ったもの」を見せることがコンテンツになっていました。
Haul(大量購入品紹介)や、「Amazonで買ってよかったもの」「今月の購入品」などもその一つ。
Underconsumption Coreは、その真逆です。
「私はこれを買いました」ではなく、「私はまだこれを使っています」。
考えてみると当たり前のことなのですが、それがSNSのトレンドになっているのが面白いところです。
The Guardianが2024年にこの動きを取材した際にも、「これは単に普通の生活なのでは?」という反応が紹介されていました。
確かにそう。
でも、「普通の消費」がわざわざ名前を付けなければならないほど、SNS上では過剰消費が普通になっていた、と考えることもできそうです。
De-influencing|「これ買って」から「これ、買わなくていいよ」へ
Underconsumptionより少し前から広がっていたのが、De-influencing(ディインフルエンシング)。
Influencerが「これ、おすすめ!」と購買を促す存在なら、De-influencerはその逆。
「その商品、本当に必要?」
「SNSでは流行っているけど、別に買わなくてもいいと思う」
と発信します。
2026年にはDe-influencingそのものが学術研究の対象にもなっています。
Journal of Business Researchに掲載された研究では、TikTokユーザーへのインタビューから、De-influencingが「買わない・買う量を減らす」ことを促すだけでなく、より情報を得たうえで消費を選択することにもつながっていると報告されています。
SNSが長い間「欲しいものを増やす場所」だったと考えると、これはなかなか大きな変化です。
No Buy / Low Buy|「買うものを厳選」から、いったん買わない
そして2026年には、No BuyやLow Buyという言葉もよく見かけます。
No Buyは、一定期間、生活必需品などを除いて新しいものを買わないチャレンジ。
Low Buyは完全に禁止するのではなく、自分でルールを決めて買い物を減らす方法です。
ここで面白いのは、
「もっと良いものを買おう」
から、
「そもそも買う必要がある?」
へ問いが変わっていること。
かつてのミニマリズムにも「量より質」という考え方はありました。
でも「質の良いものだけを持とう」と考えると、場合によっては、ミニマリストになるために家具や服を買い替えるという不思議な現象も起こります。
今あるものが使えるなら、そのまま使えばいい。
No BuyやUnderconsumptionには、そんなもっと素朴な感覚があります。
Warm Minimalism|真っ白な部屋じゃなくてもいい

もう一つ、2026年のインテリア界隈でよく目にしたのが、Warm Minimalism(ウォーム・ミニマリズム)です。
これまでのミニマルインテリアというと、
白、グレー、直線的な家具、装飾の少ない空間。
そんな少し無機質なイメージがありました。
Warm Minimalismは、すっきりした空間は保ちながら、
木、石、リネンなどの自然素材、アースカラー、柔らかい照明、使い込んだもの、個人的な思い出のあるものなどを取り入れます。
2026年にはGood HousekeepingやMartha Stewartなどの海外メディアもWarm Minimalismを取り上げています。
つまり、
「何もない部屋」から「好きなものだけがある部屋」へ。
物を減らすことより、「残したものと気持ちよく暮らせるか」のほうが重要になってきているように感じます。
ファッションも「少ない服」から「自分らしく編集する」へ
ファッションでも似た動きがあります。
中古ファッションプラットフォームDepopが発表した2026年トレンドレポートのテーマは、「The Edited Self」。
大量のトレンドを追い続けるのではなく、自分に合うシルエットを繰り返し着たり、定番を整えたりして、自分らしいワードローブへ「編集」していくという考え方です。
Depopはこれを「clarity over clutter(散らかりより明快さ)」という言葉でも表現しています。
これも昔のCapsule Wardrobeと少し似ています。
ただし、何着までと数を決めたり、黒・白・ベージュだけにしたりする必要はない。
古着でもいいし、個性的な服でもいい。
少ないことより、自分にとって意味があること。
そんな方向に変わっているようです。
Intentional Consumption|2026年を象徴する言葉かもしれない
ここまで調べていて、一番しっくりきたのがIntentional Consumption(意図的な消費)という言葉でした。
トレンド予測会社WGSNも、SXSW 2026で「Intentional Consumption」を消費行動の大きな変化として取り上げています。
直訳すると少し堅いですが、要するに、
なんとなく買うのではなく、自分で選んで買う。
ということ。
UnderconsumptionもNo BuyもDe-influencingも、根っこにはこれがあるように思います。
「買わないこと」が正義なのではありません。
欲しいなら買っていい。
ただ、「SNSで流行っているから」「セールだから」「みんな持っているから」ではなく、
私はこれが欲しいから買う。
逆に必要ないなら、
私はこれで十分だから買わない。
その選択を自分でする。
2026年のミニマリズムを見ていると、そんな方向へ進んでいるように感じました。
日本のミニマリストとの共通点と異なる点
ここまで調べたところで、ふと思いました。
これ、日本でいう「ゆるミニマリスト」に結構似ているのでは?
日本のゆるミニマリストも、必ずしも「持ち物100個」のような生活を目指しているわけではありません。
好きなものは持つ。
必要なものも持つ。
無理に捨てない。
でも、なんとなく増やさない。
自分が管理できる量で暮らす。
UnderconsumptionやIntentional Consumptionが目指しているものと、かなり重なる部分があります。
ただし、少し違うところもありそうです。
日本の「ゆるミニマリスト」は、
暮らしや家事をラクにするために、持ち物を減らす。
という発想が比較的強いように感じます。
一方、海外のUnderconsumptionやDe-influencingには、
過剰消費やSNSの購買圧力から距離を置く。
という文脈がより強くあります。
入り口は少し違うけれど、たどり着くところは近い。
そんな印象です。
まとめ:2026年のミニマリズムは「Less」より「Enough」

以前のミニマリズムを一言で表すなら、
Less is more.
だったのかもしれません。
より少なく。
よりシンプルに。
でも2026年の海外の動きを調べていて、私が感じたキーワードは「Less」よりむしろ、
Enough(十分)
でした。
服が10着だからミニマリスト。
家具が3つだからミニマリスト。
そういう絶対的な基準ではなく、
「私にはこれくらいあれば十分」
という量を知ること。
誰かのミニマルな部屋を真似するのではなく、自分が気持ちよく暮らせる量を探すこと。
そう考えると、好きなものは持っていたいし、旅先で気に入ったものを見つけたら買いたい私にも、今のミニマリズムは案外しっくりきます。
「もっと減らさなきゃ」と考えるのではなく、
「もう十分持っているかも」
と考えてみる。
2026年の海外ミニマリスト界隈を調べてみたら、そんな少し優しいミニマリズムが見えてきました。






コメント