会社を辞めてキャリアブレイクに入った頃は、「せっかく時間ができたのだから、何か有意義なことをしなければ」と焦っていました。
資格を取る、転職に役立つ勉強をする、長期旅行へ行く。仕事をしていない期間を、何か目に見える成果で埋めなければいけないような気がしていたのです。
けれど、約9か月のキャリアブレイクを終えた今、やってよかったと思うのは、キャリアアップにつながる特別な経験ばかりではありません。
物や情報を減らし、暮らしを整え、自分が本当に望んでいる働き方を考える。私に必要だったのは、新しい何かを増やすことよりも、余計なものを手放すことでした。
今回は、30代でキャリアブレイクを経験した私が、休んでいる間にやってよかったことを7つ紹介します。
キャリアブレイクを選んだ理由や約9か月後に再就職するまでの経緯は、30代でキャリアブレイクを経験した私の体験談にまとめています。
1.まずは何もせず、しっかり休んだ
キャリアブレイクの最初に必要だったのは、次の仕事を探すことではなく、心と体を休ませることでした。
前職では、会社組織や上司との関係、不当だと感じる評価、フル出社による拘束時間の長さなど、さまざまなストレスが積み重なっていました。最終的にはうつ病になり、人間関係も働くことも、すべてから距離を置きたい状態になっていました。
そんな状態で無理に行動しても、自分に合った選択はできなかったと思います。
仕事をしていないと、「今日は何もできなかった」と罪悪感を抱きやすくなります。しかし、回復が必要なときには、休むことも大切な予定の一つです。
何かを成し遂げなくてもいい。まずは朝起きて、食事をして、穏やかに一日を終える。それだけでも十分だと思えるようになるまで、少し時間がかかりました。
2.ミニマリストの暮らしを実践した
乱れてしまった心を整えるために始めたのが、ミニマリストのライフスタイルでした。
もともと引っ越しを繰り返してきたこともあり、物を増やすタイプではありませんでした。それでも、改めて持ち物を見直してみると、「今の自分には必要ない」と感じるものが意外と残っていました。
使っていないもの、見ると過去を思い出して気持ちが重くなるもの、いつか使うかもしれないと持ち続けていたもの。そうした物を一つずつ手放すうちに、部屋だけでなく、頭の中も少しずつ整理されていきました。
物が減ると、掃除や管理に使う時間も減ります。余計な買い物も少なくなり、暮らしに必要なお金も見えやすくなりました。
ミニマリストになって感じたお金との付き合い方は、ミニマリストのお金に関する本音に書いています。一人暮らしの持ち物を見直したい人には、一人暮らしで断捨離してよかったことや、手放してよかった7つのものも参考になるかもしれません。
私にとってミニマリズムは、少ない物で暮らすためのテクニックではなく、疲れていた自分を立て直す方法の一つでした。
燃え尽き症候群をきっかけにミニマリストの暮らしを選んだ理由にも、当時の心境をまとめています。
3.デジタルデトックスをした
持ち物を減らした次に気になったのが、毎日取り込んでいる情報の多さでした。
会社を辞めて時間ができても、スマートフォンを見続けていると、頭の中はなかなか休まりません。SNSには、留学や資格取得、起業、副業など、キャリアブレイク中にも精力的に活動している人が並んでいます。
そうした投稿を見るたびに、「私も何かしなければ」「休んでいるだけで大丈夫だろうか」と焦ることがありました。
そこで、SNSを見る時間を減らし、通知を切り、意味もなくスマートフォンを開く習慣を見直しました。メールボックスも整理し、不要な情報が目に入らない環境をつくりました。
物を減らすと部屋に余白が生まれるように、情報を減らすと心にも余白が生まれます。
私が実践した方法は、デジタル断捨離の5つの方法と、Gmailを整理して情報を減らす方法にまとめています。
SNSとの距離感を見直した経験については、SNSをやめて感じた変化でも紹介しています。
4.生活費とお金の使い方を見直した
キャリアブレイク中は時間があります。しかし、お金は無限ではありません。
退職前に生活防衛資金を準備していたため、すぐに働かなくても暮らせる状態ではありました。それでも、収入がない期間に貯金が減っていくことへの不安はありました。
そこで、毎月の生活費や固定費を改めて確認し、自分にとって本当に必要な支出を考えました。
節約のために何も楽しまずに暮らすのではなく、自分が大切にしたいことにはお金を使い、満足度の低い支出は減らす。ミニマリストの暮らしを実践したことで、この判断がしやすくなったと思います。
キャリアブレイクを安心して続けるには、休む期間だけでなく、「その期間をどのくらいの生活費で過ごすのか」を把握することも大切でした。
日々の支出を小さくする方法は、ミニマリストの節約術で詳しく紹介しています。
5.旅行したい気持ちの正体に気づいた
働いていた頃は、いつも「旅行へ行きたい」と思っていました。
時間ができたら遠くへ行きたい。仕事から離れて、知らない場所でのんびり過ごしたい。そんなことを何度も考えていました。
ところが、実際にキャリアブレイクをして自由な時間が増えると、不思議なことに、旅行へ行きたいという衝動は以前ほど強くなくなりました。
そのとき初めて、私は旅行そのものを求めていたのではなく、働いていた環境から逃げたかったのだと気づきました。
もちろん旅行は好きですし、一人旅から得られるものもあります。実際に、一人旅を通して気づいたことや、伊豆大島・三原山を一人で歩いた体験は、自分を見つめ直すきっかけになりました。
ただ、キャリアブレイク中は時間があっても、お金には限りがあります。遠くへ出かけることよりも、毎日の暮らしを心地よくすることに時間とお金を使いたいと思うようになりました。
旅行が現実逃避になっていたことに気づけたのも、一度立ち止まったからこそです。長期旅行を考えている人には、ヨーロッパ旅行の前に知っておきたかったこともまとめています。
6.一人の時間を楽しめるようになった
仕事をしているときは、一日の多くを会社や仕事のために使っていました。
キャリアブレイクに入ると、突然、一人で過ごす時間が増えます。最初は時間を持て余し、「何か予定を入れなければ」と思うこともありました。
しかし、散歩をする、部屋を整える、ゆっくり食事をするなど、特別ではない時間を楽しめるようになると、暇であることへの不安が減っていきました。
誰かと会わなくても、遠くへ出かけなくても、自分で自分の機嫌を取れる。これは、キャリアブレイク中に身についた大切な感覚です。
一人時間の過ごし方については、一人の時間を楽しむためのヒントでも紹介しています。
7.自分に合う働き方の条件を整理した
キャリアブレイク中に最も大きく変わったのは、仕事選びの基準です。
前職がつらかった頃は、「会社員という働き方そのものが向いていないのでは」と思い、起業も考えていました。
しかし、時間をかけて振り返るうちに、仕事自体が嫌だったわけではないことに気づきました。私が苦しかったのは、フル出社や長い拘束時間、尊敬できない人のもとで働くことなど、自分に合わない環境でした。
転職エージェントからは、「この仕事内容でフルリモートは難しい」と言われ、出社を前提とした求人を紹介されました。それでも、フルリモートという条件は妥協しませんでした。
前職を辞めた原因と同じ環境に戻ってしまえば、また同じことを繰り返す可能性があると思ったからです。
その後、知り合いの紹介をきっかけに、現在の会社と出会いました。仕事内容は以前とほぼ同じですが、フルリモートで、尊敬できる人たちと働けるため、精神的なストレスは大きく減りました。
キャリアブレイク中に自分の譲れない条件を整理していたからこそ、焦って合わない会社へ戻らずに済んだのだと思います。
キャリアブレイク中に大切だったのは、何かを増やすことではなかった
キャリアブレイクに入ったばかりの頃は、休んでいる時間を無駄にしてはいけないと思っていました。
けれど、今振り返ると、本当にやってよかったのは、何か新しい成果を増やすことではありませんでした。
物を減らし、情報を減らし、支出を見直し、「こう働くべき」「休んでいる間も成長するべき」という思い込みを少しずつ手放したこと。
そうして心と暮らしに余白が生まれたことで、自分が本当に大切にしたい働き方が見えてきました。
キャリアブレイクは、何もしない空白の期間ではありません。
私にとっては、自分を回復させ、これからの暮らしと仕事を整えるための時間でした。







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